固体潤滑剤とは?

固体潤滑剤の代表例についてご説明します。

現在、工業用部品の摺動抵抗の軽減や摩擦抵抗の低数値化には、潤滑剤の塗布が広く用いられ、それには、オイルやグリースを塗布する湿式潤滑皮膜と固体潤滑皮膜を含有させた樹脂塗料を焼付塗装したり、メッキ処理をしたりする乾性潤滑被膜を形成させる2通りがあります。

前者は旧来から使用されており、周知の潤滑方法ですが、製品の高速運動化、耐磨耗性向上の要求等により、添加剤等でオイルやグリースの性能も向上してきたものの、環境上の問題や使用箇所の制約により後者の乾性潤滑被膜に移行されるケースが多くなってきています。

乾性潤滑被膜には固体潤滑剤が使用され、固体潤滑剤には一般的に、二硫化モリブデン、グラファイト、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等が多く用いられています。特性は表のように、耐荷重性が非常に高く、摩擦係数が低いことが特徴です。

また、それらの潤滑剤を電子顕微鏡で観察すると、燐片状になっていることがわかり、荷重が加わると横滑り現象が起こり、それが低摩擦につながります。

固体潤滑剤の特性

固体潤滑剤 外観 密度 摩擦係数 耐荷重性 耐熱性
二硫化モリブデン 灰銀色 4.8 0.04 784Mpa 350℃から徐々に酸化(MoO3)
グラファイト 黒色 2.2 0.06 490Mpa 550℃から徐々に酸化(CO2)
PTFE 白色 2.2 0.04 196Mpa 300℃前後より熱分解生成物発生

固体潤滑剤のSEM像

二硫化モリブデン
二硫化モリブデン
グラファイト
グラファイト
PTFE

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