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碍子のできるまで
がいし【碍子】
電柱などにつけ、送配電用の電線を支持するための陶磁器製や合成樹脂製の絶縁器具。
(小学館 Bookshelfより)
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陶石、長石等
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陶石、長石、けい石などの原石類は微粉砕して所定の割合に調合し、適度の粘土と水を加えてボールミルにかけ、乳状液の泥漿(でいしょう)にします。
この会社では、細かく砕かれたそれぞれの原料を原料会社から購入しています。
この陶石や長石というのは、その石に含まれる化学成分の違いで区別され、これらが採掘された場所から天草陶石、砥部陶石、対州長石のように名前がつけられます。
水簸粘土
(すいひねんど)
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磁器の原料はそれ自体が種々の形態で産出するので、そのままでは使用できません。
特に粘土は不純物を多く含有し、また粒子も不ぞろいであるため、いったんこれを水に溶解して水簸(すいひ)し、均一なものにします。
愛知県瀬戸市ではこうした良質の粘土が昔から採れていた事から、『せともの』の街として栄えてきました。
ボールミル
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陶石、長石、けい石、水簸粘土は、一定の割合で混合し、水と共にボールミルに投入され、50μ程度になるまで擂られます。
この状態を泥漿(でいしょう)と呼びます。
ボールミルの中にはテニスボール大のセラミックの玉が1000個程入っています。
ボールミルが回転すると、このボールが中でゴロゴロと回り、中の材料を砕いていくのです。
徐鉄・分級
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泥漿は、ふるいによって#200(メッシュ)以上の粗粒子を取り除き、鉄分もここで取り除きます。
そして、いったん地下のタンクへ送られます。
ここで、大切な事はしっかり鉄分を除く事。
碍子というのは電線を絶縁する時に使う器具です。
もし、それに鉄が含まれていると、絶縁どころか電気を通してしまいます。
メンフラポンプ
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泥漿は地下タンクからポンプによってくみ上げられ、フィルタープレスへ送られます。
フィルタープレス
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フィルタープレスには、布(フィルター)が何層にも重ねられ、それぞれにポンプから圧送されてきた泥漿が蓄えられ、布を通して水のみを濾し出します。
ケーキ
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フィルタープレスで脱水された泥漿は円盤状の陶土の板として取り出されます。
これをケーキと呼びます。
荒練り
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取り出されたケーキは、真空土練機によって、荒練をします。
荒練りされた陶土は、本練り用の土練機に投入し易いような円柱状に押出されます。
本練り
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円柱状の陶土は、再度真空土練機によって練り上げられ、製品の外径に近い素材として押し出されます。
土練機には、均等な水分の土に練り上げ、中の空気を完全に取り去る役割があります。
切断
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土練機から押出されてきた円柱状の陶土を、一定の長さに自動切断し素材を作ります。
これをホケと呼びます。
丸鏝成型
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ホケの中心に段付きや止まり穴等をあける作業を行います。
穴をあけるための金型を「丸鏝」(まるごて)といいます。
これで、ほぼ碍子の中側の形が出来上がりますが、水分を含んでいるので大きめです。
低温乾燥
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丸鏝成型されたホケは、低温乾燥室で、湿度を保ちながらゆっくりと乾燥させます。
外形仕上げ
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ある水分量にまで乾燥が進んだホケは、丸鏝成型で作られた穴をガイドに、NC旋盤にて、外形を切削加工します。
本乾燥
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外形を仕上げられた製品は、本乾燥にて、完全に水分を取り除きます。
生検査
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本乾燥から出された製品は、乾燥によって生じる可能性のある、キレやひび割れ等の有無を検査します。
一つ一つすべての製品が、手作業で確認されます。
水拭き
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検査を通過した製品は、削り目の跡などを水拭きで修正します。
マーク貼り
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製品の表面へ、紙にゴス(青や赤の色薬)で印刷されたマークを張ります。
施釉(せゆう)
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製品に釉薬を施します。
釉薬は、製品の強度を向上させると共に、撥水性や汚れを着きにくくさせる役割があります。
サンド付け
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碍子に金具をセメントでより強固に固着させるために、その表面をザラメ状の粒で突起をつけます。
窯詰め
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焼成するために台車に製品を積んでいきます。
製品を載せる板をタナイタ、その板を支える柱をツクといいます。
焼成
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1300℃で45時間焼成されます。
窯起し
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焼成された製品は、窯詰めと逆の作業で、台車から順番に製品を取り出します。
冷熱試験
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焼成後の製品は、88℃±3℃のお湯に15分浸けられ、次に8℃±3℃の冷水に浸け、それの繰返しにより膨張収縮の耐久試験を行います。
外観検査
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冷熱試験により膨張収縮に耐え切れず亀裂が生じた製品を検査します。
高周波試験
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高周波で、内部亀裂や鉄分混入によるスパーク試験を行います。
「除鉄・分級」という行程で鉄分が取り除かれなかったり、それ以降の行程で鉄分が混入したりした製品は、この試験で高周波を流したときに壊れてしまいます。
研磨仕上げ
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公差の厳しい部分は、最終研磨仕上げを行います。
出荷
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梱包前に最終目視検査が行われ、箱詰めされます。
碍子はこの後の工程で、金具付けや、素子の封入等を経て、トランスや送受電施設の絶縁体として使用されます。
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